2012年11月9日金曜日

センサーサイズと手ブレの関係

ふとした事からセンサーサイズと手ブレの関係について考えてみました。というのも「センサーが小さければそれだけより小さな動きに敏感になる(つまりブレにより敏感になる)のでは?」とふと思ったからです。

ふとよぎったこの考えは私が日頃から感じている感覚とは全く逆の感覚です。私の感覚としては(同じ画角において)コンデジ(私の場合GR DIGITAL III、以下GRD3)の方がAPS-C機(私の場合はNikon D7000)よりも手振れしにくいというものです。

一般的には1/焦点距離が手振れの限界シャッタースピードの目安だと言われています。つまり同じSSの場合、広角レンズのほうが望遠よりも手振れしにくいというものです。

ここでの疑問は「じゃぁ同じ焦点距離でセンサーサイズが違った場合に手振れのしやすさが変わるのか」と言うことです。

いろいろ考えていったところ、考えなくてはいけないのはセンサーサイズというよりも、センサーピッチ(センサー上での一画素あたりのサイズ)と(35mm換算していない実際の)焦点距離であるとの結論に達しました。

なぜこのような結論に達したかというと、例えば私が普段使っているNikonのD7000(APS-Cサイズ)とフルサイズモデルであるD800を例に考えました。このふたつのモデル、センサーサイズこそ違いますがセンサーピッチはほぼ同じです。なので全く同じレンズをそれぞれにつけて一画素分のズレ(=ブレ)が生じるための動きの量も同じです。

例えばD800に60mmレンズをつけた場合、通常の計算でのSS限界値の目安は1/60秒と言うことになります。そして全く同じレンズをD7000につけた場合(見かけ上は90mmの中望遠レンズなのですが)、SS限界値の目安はやはり(1/90秒ではなく)1/60秒であるということです。

但し上記はあくまで同じセンサーピッチが前提です。

次の疑問は「それじゃ同じ解像度(画素数)だけどセンサーサイズが違う場合はどうなんだろう?」と思いました。

例えばNikon D7000(APS-Cサイズで解像度は4928×3264)とNikon D4(フルサイズで解像度は4928×3280)はほぼ同じ解像度ですがセンサーサイズが違うモデルと見ることができます。D7000のセンサーピッチは約4.8ミクロンでD4は7.3ミクロンです。D4のセンサーピッチはD7000の約1.5倍です。なのでD4はD7000と比較してブレに対して、より寛容であると見ることができます。例えばD4で 1/60 が限界の目安であった場合に、D7000だとよりシビアな1/90 (約1.5倍) が限界であるということになるのだと思います。つまりどちらのカメラがどれだけぶれやすいかの比較は、センサーピッチどうしの比率とレンズの実際の焦点距離(35mm換算していない)で示せば良いということかと思います。

例えばD4に50mmレンズをつけた場合のSS限界値が1/50秒であるとした場合には、D800で同じレンズをつけた場合、SS限界値は1.5倍(7.3ミクロン÷4.8ミクロン)の1/75秒であるということになります。

最後の疑問としては「じゃぁ私の持ってるコンデジ(GRD3)とフルサイズ機であるD800の場合どのくらいの換算になるのだろう?」というものです。

まず今回の計算で基準とするD800に28mmレンズをつけた際のことを考えます。D800のセンサーピッチは4.8ミクロンでレンズの焦点距離はフルサイズなのでそのまま28mmで考え、限界SSの目安は1/28秒であるとします。

一方でコンデジのGRD3のセンサーピッチは計算したところ2.1ミクロンでした。また35mm換算で28mm相当のレンズの実際の焦点距離は(なんとたったの)6mmです。まずセンサーピッチ的にはGRD3のほうが約2.3倍(4.8ミクロン÷2.1ミクロン)ブレに対してシビアですが、GRD3のレンズは焦点距離がかなり短いので、その意味ではブレに対して寛容であると言えます。

つまり最終的な計算としては(焦点距離6mmなので)1/6秒の2.3倍のシャッタースピード=1/14秒 が求められるということになりました。

もう一つ最後に私の手持ち機材であるD7000の場合はどうなるのか? D7000で35mm換算で28mmの画角を得るには約19mmのレンズが必要になります。センサーピッチはD800と同じと考えるとD7000では1/19秒が求められるという結果になりました。

まとめると…同じ画角(28mm相当)に関してのブレに対するSS限界値の目安は下記のようになりました。
D800 1/28秒 (これを基準とした)
D7000 1/19秒
GRD3 1/14秒
Nikon J1 1/15秒 (ついでに計算してみました)

普段感じていた「コンデジだと手振れしにくい」という点を一応は表していますが、それほど大きな違いでもないようですね…。

補足: ここでの話しは基本的に等倍拡大した際のブレの許容量という話しです。(私が興味があったのはこの点なので) 最終目的が印刷ということになるとまた別の話しになると思います。